2011/08/01

[本]隠される原子力 核の真実 創始社 小出裕章著


読み終わること自体は時間がかからない。が、よくわからないので何度も読み直してしまった。難しいことは書いていない。しかし、知らないことが多すぎる割に問題が大きいと改めて感じる。

今回の震災で原発を拡大し続けてきた人たちは、尋ねるもの、聞くものを信用してないようだとかんじた。与えられる情報なのか、情報源かわからないが信頼できなくなった。情報コントロールが試みられ、それらがしばらくすると公になるということの繰り返し。電力会社による多数派工作もあわせて、どんどんよくないものとして印象付けられた。マスコミの問題なのか、自分のかかわる人たちによる影響もあるが、どう考えてもタイミングも悪いし情報の出し方もよくないので、自分の感覚でやっぱりおかしいと考えている。

さて、この本一般向けに書かれたものだろうか、いろいろなトピックが多くこうなんだは書いてあるがどうしてそうなのかについては参考文献をたどる必要がある。なので、あまり掘り下げはなく、原子力発電の問題点がいろいろと指摘されている。

著者のことは震災直後のオンラインメディアではじめてしった。淡々とインタヴューや解説を行いつつ、彼の見通しは(数字や表現など指摘は多いものの)割と間違っていなかったように見える。あおっているように見えるだろうが、彼の提案している原子力の平和利用をあてにしないというものだが、福島の事故があっては自分には将来的な脱原発の主張のほうがなじみやすく、読みやすかった。

原子力発電所の非効率さ、再処理施設及び六ヶ所村の問題点(放射性物質の除去がコストを理由に十分行われない)、エネルギーの浪費問題は興味深い。原子力発電の効率は3割前後しかなく、再処理施設は稼働率などの問題などがずっとあるにもかかわらず稼働のめどもたっているかどうかわからないところへ、お金をかけすぎてもう引けない実情。

一方でいまでも東電は原子力発電に相当執着心があるらしい。理由は、太陽光発電をあれやこれやでデメリットをつよく強調し続けているからだ。わざわざ、太陽光発電のページでである。一方、原発関連のページでは、原子力のデメリットについてあまり明確に書いていない。問題点を画す姿勢自体が原因で、原発全部が否定されてきたというのがここ5か月の流れかもしれない。原子力発電のメリット・デメリットと太陽光発電のメリット・デメリットを並べた時、デメリットの大きすぎる方法をどうしても選択するだろうか…

この本を読んでやっぱり脱原発が望ましいかなとおもう。とくに日本では国土が狭い分だけ国土の汚染は非常に大きなダメージだ。重大被害でも影響を最小化する必要があるけど、今回意図したようにダメージコントロールをすることもできなかった。手に負えなかったことを露呈した以上、これ以上の拡張は無謀だ。原子力発電は素晴らしい発電方法かもしれないが、、、障害が拡大するとリカバリーが非常に難しくなる。安定していたはずの電力の供給能力も大きく損なわれる。

ただ一方で、廃炉にしても拡大にしても、処理しなければいけない放射性物質は膨大だ。現実問題として反対しても賛成しても大量のごみをどうにかせねばならない。現実的に抱えている問題を逐次解決しなければいけないことは忘れずにこの問題をとらえたいと思う。